■出展概要
2025年10月14日(火)~17日(金)に幕張メッセで開催された「CEATEC 2025」において、総務省委託研究開発「安全なデータ連携による最適化AI推進コンソーシアム」は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ブース内に出展し、研究開発成果である「AIモデル共創プラットフォーム技術」や「エッジAIを活用した実証実験の実機デモ」 等を一般公開致しました。
本展示では、データを共有せずにAIモデルを協調的に学習・進化させる“分散型AIの新たなかたち”を体感できるデモンストレーションを実施しました。今回の展示では、多くの来場者が足を止め、研究者による説明に耳を傾けました。
■出展の背景
本コンソーシアムは、KDDI株式会社、株式会社KDDI総合研究所、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、日本電気株式会社(NEC)、TOPPAN株式会社、さくらインターネット株式会社、グリーンブルー株式会社、株式会社ピコラボ、プラナスソリューションズ株式会社、ギリア株式会社の10者で2023年に構成されています。
また、我々は総務省委託研究「安全なデータ連携による最適化AI技術の研究開発」の一環として、マルチモーダルAI・エッジAI・連合学習の3技術を統合し、「分野を越えて安全にAIを学習・進化させるための共創基盤」の確立を目指しています。
■主な展示内容
①AIモデル共創プラットフォーム技術
「安全なデータ連携による最適化AI技術の研究開発」を紹介したポスターでは、データを安全に連携させ、分野・領域を横断してAIモデルを共創・循環進化させるプラットフォームの研究開発の概要を紹介しました。
従来の AI モデル開発・利用での安全性に関する課題を示した上で,AIモデル共創プラットフォームがそれらの解決にどう貢献するかを、その中核となる循環進化技術の仕組みとともに紹介しました。また、AIモデル共創を実現するための要素技術として、下記の本委託研究による研究開発成果群を紹介しました。
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AIモデル循環進化の信頼性を担保する技術である合成データ技術や不正検知技術
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AIモデル循環進化の透明性や性能改善に活用するトレーサビリティ技術
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効率的かつ対攻撃性の高い連合学習を実現するパーソナライズド連合学習
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ヘテロな環境で高効率な分散機械学習を実現するためのモデルオフロード学習の最適化技術、連合継続学習技術
我々コンソーシアムは、これらの技術により、安全かつ効率的にAIを進化させる分散型機械学習技術の実現を目指す研究に取り組んでいます。
②ドメイン特化モデル循環型サービスの社会実証
続く展示ポスターでは、AIモデル共創プラットフォームを中核に据え、交通・地域安全・防災といった社会領域での具体的な各社の社会実装に向けた取り組み事例について紹介しました。
ドメイン特化モデル循環型サービスのビジネスモデルでは、中核に添えられた「AIモデル共創プラットフォーム」を軸に、下記で紹介する「サービス事業者」「業界団体・自治体」「エンドユーザ」「プラットフォーマー」の四者が相互に関与する構図が想定されます。
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業界団体・自治体など(モデル提供者)
各領域で構築したAIモデルをプラットフォームに提供し、他分野の技術・データ知見を取り入れながらモデルの改良・横展開を行います。これにより、個別のドメインを超えてAIモデルが相互に進化していきます。 -
プラットフォーマー(プラットフォーム運営者)
AIモデル共創プラットフォームの運用・技術基盤を担う中心的な存在。業界団体・自治体・サービス事業者・ユーザを結ぶハブとして、PF/モデル利用料、取引手数料、データ連携のルール形成・管理を行い、プラットフォームの公正性と信頼性を確保します。また、参加企業間での合意形成やコミュニティ形成を支援し、エコシステム全体の持続性を高めます。 -
サービス事業者(モデル活用者)
プラットフォーム上のAIモデルやAPIをSaaS形式で利用し、エンドユーザ向けのサービス(例:運行管理支援、防災通知、地域安全マップ等)を提供。サブスクリプションや従量課金などの利用料を通じてプラットフォームの維持・拡張に貢献します。
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エンドユーザ(利用者・住民など)
各サービスを通じて得られる利用データや利用傾向が、匿名化された形でプラットフォームにフィードバックされます。また、AIモデル改善への貢献度に応じたインセンティブの付与も想定されており、参加型・循環型のAIエコシステムとして設計されています。
続いて、展示内で紹介された各社の研究開発技術の社会実装に向けた取り組みとして、以下の内容が紹介されました。
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交通分野:
循環進化型AIドラレコを活用した運行管理支援の実証実験や小型エッジ端末を運送事業者のトラックに搭載したヒヤリハットリスク予測の実証実験 -
地域安全分野:
循環進化型AIドラレコを搭載したタクシー等よりヒヤリハットリスク予測結果を収集し、地域の交通リスク情報を可視化したマップの生成。地域の交通リスク情報等を活用した安全・快適な移動ルートの推薦機能の、MaaS向けアプリや交通弱者支援を目的としたアプリ等への応用。 -
防災分野:
LLM等を活用した、気象・交通リスク・SNS情報などの多種データをリアルタイムに反映した防災行動支援サービスの開発とサービスの実用化に向けた実証実験。
これらの取り組みを通じ、公共価値と収益事業性の両立を図りながら、プライバシーを担保した地域データの利活用を推進する社会実装モデルを提示しました。
③エッジAI実験装置・実機デモ展示
ブースでは、ポスターに加えて実際に車載環境センサー装置・エッジAI端末・カメラユニットを組み合わせた運行管理支援実証のデモ展示を実施しました。
来場者は、センサーから取得した走行・周辺環境データをリアルタイムで解析し、AIモデルを更新するプロセス・仕組みを可視的に体験しました。これらのリアルデモ展示により、中央のクラウドに依存せずローカル環境で安全にAIの推論・学習処理を行う「分散・省電力型AI」の可能性と実用例について紹介しました。
④社会実証と社会実装のシナリオ
展示ブースの大型モニターでは、研究成果を基にしたグリーンブルー株式会社、KDDI株式会社、TOPPAN株式会社、各社の社会実装の将来像を動画で紹介しました。
■来場者の反応
会期中は、官公庁・研究機関・民間企業など、AI・データ活用に関心を持つ多くの来場者様にブースを訪れまていただきました。特に、「データを共有せずにAIを共同で進化させる」という分散型AIモデルの仕組みに対し、多くの質問と関心が寄せられました。
具体的な例として、来場者の方々からは次のようなお声をいただきました。
- 「AIモデル共創プラットフォームは、異分野データを連携させる新しいアプローチだと感じた」
- 「エッジAI装置を用いたリアルなデモは、社会実装の具体的イメージを持ちやすかった」
- 「地域データを活用した実証と産業応用の両立が実現できる点が非常に興味深い」
また、ブースでは研究者・開発担当者が常駐し、来場者との意見交換を通じて技術的議論が行われました。
特に、「AIモデル循環進化の信頼性確保」「分散学習におけるエネルギー効率」「社会実装時の運用コスト」など、実装・評価・持続性の観点で具体的な議論が交わされ、活発的な交流の場となりました。
■今後の展望
本コンソーシアムは、今回のCEATEC出展を通じて得られた意見や反響を踏まえ、2025年度(令和7年度)後半にかけて、以下の3つの方向性で研究開発・社会実証を加速していきます。
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AIモデル共創プラットフォームの技術実証と汎用化
連合継続学習・モデルオフロード学習・トレーサビリティ技術・不正検知技術などの各要素技術の質を高めながら組み合わせ、分野を超えて利用可能な汎用アーキテクチャの確立を目指します。 -
実証実験環境の拡大
展示で使用したような実証実験の環境をさらに発展・活用させ、複数地域・複数分野での実証実験を通じた評価を実施。リアルデータを活用した社会実証により、AIモデル循環進化の効率性と安全性を検証します。 -
社会実装モデルの体系化と連携拡大
交通・防災・地域安全の領域で構築した社会実証モデルを基盤に、産官学連携によるサービス化・標準化に向けた取り組みを推進してまいります。パートナー企業や自治体とのさらなる連携拡大を通じ、公共・民間双方での展開を図った取り組みを進めていきます。
これらの取組みにより、「AIモデル共創」という新たな枠組みのもとで、多様なデータが安全に連携され、AIが社会とともに進化していくことで分野横断的な課題解決や日本の産業競争力向上への貢献を可能とする未来の実現を目指します。
■出展を終えて
今回の展示を通じ、AI技術が抱える「データ共有とプライバシー保護の両立」という課題に対して、本コンソーシアムの研究が現実的な解を提示できる可能性を示しました。
特に、エッジAIによる現場即応型の分散型学習や、AIモデル循環進化の信頼性・安全性確保といった研究方向は、各業界から高い注目を集めました。
今後も、研究開発成果を社会に還元しながら、AI技術の安全・安心・持続的な活用を推進してまいります。
CEATECでの展示内容では含まれていなかった、その他の研究開発成果の詳細は、本オウンドメディアにて順次公開予定です。
【関連リンク】
- CEATEC公式サイト: https://www.ceatec.com/ja/
- NICT 出展案内記事:「CEATEC 2025」に出展|イベント|NICT-情報通信研究機構
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